海がみたい
あれは、俺の嫌いな寒い季節で、リユの好きな澄み過ぎた空気が肌を刺す頃。
繋がりなんて、何もない、無機質な携帯電話さえも、時間は限られて、
二人の時間を割くように鳴る着信音に、俺は苛立って、おまえは申し訳なさそうな顔をした。
いつか、何を守る為なのか分からない嘘が増えていって、
二人の時間は緩やかに、だけど確実に減っていった。
別に、分かっていた事。
おまえは俺に甘えて、
ただ、無差別にくれる愛に安心しているだけ。
だけど、それでも
一緒に過ごす時間があるなら
俺はそれで良かった。
リユがまだ笑うなら、
それで良かった。