隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
「いくちゃんママ……あのね」
朝に洗ったシーツが
お昼には乾く。
夏の太陽の威力は凄い。
シーツの次は布団を干そうと
両手で布団を抱えていたら
思いつめた声が聞こえた。
どこ?
あぁごめんごめん。
布団の陰に隠れてたのね。
「どうしたの?」
夏休み中の小学一年生。
毎日走り回って
友達とプールに行き
たまに勉強をして
花火をして
歌って踊る
いつも元気な可愛い娘。
今日は朝から元気がないぞ。
ううん。
昨日
お友達の家に遊びに行ってから
ちょっとテンション落ちてますけど。
干そうと思っていた布団を足元に置き、腰を落して桜ちゃんの目線に合わせて顔を見る。
不安そうな顔?
どうしたの?
まだ夏休み中だから
宿題は急がなくていいんだよ。
良く遊ぶのが
小学校一年生の宿題みたいなもんだからさ。
「お話があるのかな?」
サラサラ髪を撫でてニッコリ笑うけど
「うん。お話があります」
笑顔も見せず真剣に言う。
あれ?何だろ。
こっちも思わずその場で正座。
「桜はアルバイトがしたいんです」
小さな口がそう言った。
アルバイト?
聞き間違いか?
どこでするの?マック?
カウンターから顔が出ないよ。