隣に座っていいですか?これはまた小さな別のお話
「そして、ゆうと君は?」
ワクワクして聞くと

「それがですねー」
楽しそうに思い出して笑ってる。
何があった?

「ゆうと君の家の前、桜の友達の幼稚園児の女の子が沢山いて。ゆうと君、桜だけじゃなくて、皆に『チョコちょうだい』って言ってた話」

「え?桜ちゃん限定じゃなかったの?」

「そう。女の子全員に言ってた」

大爆笑してる。
ホッとしたんでしょう。
桜ちゃん限定じゃなかったから。

なんとも
そんな話だったのか。
ちょっと残念。

大きなため息をしていたら
私の口にチョコが入る。

「ちょっと……」

「聞こえない」

ガバリとそのまま抱きつかれ
ソファの上で押し倒された。

「今キスすると」
端整な顔が近寄り

「チョコの味がするね」
そっと柔らかい唇が重なる。


そうだね

お互いのチョコが
お互いの口の中で溶けて

ひとつになりそう。

甘い甘いバレンタイン

彼と桜ちゃんと過ごす
初めてのバレンタイン

それは
幸せな幸せなバレンタイン。




    【完】
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