悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


驚いた心臓が速さを増す。


どうしてこうも緊張するんだろう。


ヘンリーはそんなに話しにくいタイプでもないのに。



「サラ様はいつも制服のままですよね?ルカ様のようにすぐにお着替えになったらよろしいのに」


ヘンリーに言われ、あたしは制服姿の自分を見下ろす。


「あ~。あたしはこのままでいいの。前にこっちの服をシキに用意してもらったんだけど、それを着たらルカにブスって、自分に似合う服も選べないのか~って言われたから」


あたしは唇を尖らせ、そして片方の頬をクイっと上げた。


ヘンリーが微笑ましそうに目を細めて口角を上げる。


「ここで生活をされている方々は本当に幸せそうですよね」


ヘンリーは、チヅルさんの眠るお墓に目を向けながら言った。


「魔界とはだいぶ環境が違ったので、最初ここに来た時は驚きました」




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