悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
「さすが王子が選んだ女性ね。とてもキレイだわ」
「いえ、そんな」
あたしはぎこちなく言って、横髪を耳にかける。
照れながらルカを上目づかいで見上げると、ルカはあたしから目を逸らし斜め上を見た。
一通り挨拶を済ませたあたしはもうクタクタ。
連続して作る笑顔に頬の筋肉は強張ってくるし、慣れない環境に緊張した体が受ける疲労は通常の倍以上だ。
あたしは椅子の背もたれに体を預け、他の悪魔達に聞かれないよう小さくため息をついた。
ああ……。
ご馳走が目の前の皿に盛り付けられているっているのに、全く食が進まない。
さっきからオレンジジュースばかり飲んで、お腹がタプタプだ。
チラリ。と、梓達の方に目を向けると、ちょうど梓が席を立ちヘンリーに連れられて部屋を出て行くところだった。
思わず勢いよく体を背もたれから起こす。
「ん?急にどうした?」
挨拶を終え、隣に座ってようやく食べ始めたルカが、眉を寄せる。
あたしはハッとして、慌てて首を横に振る。
そしてまた、ふたりの消えたドアに目を向けた。
どこに行ったの?