悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~


まだヘンリーについて何かわかったわけじゃないけど、梓とヘンリーがふたりになるっていうのは、ちょっと心配だ。


梓にだけは、この事話しておいた方がいいよね?


用心して悪いことはない。


梓はすぐにひとりで戻って来た。


あたしはすかさず、「梓の所に行ってくる」とルカに言い席を立った。


「あ!サラ。もう自由に動けるの?」


あたしを発見した梓は席に座りながらあたしを見上げる。


「今どこ行ってたの?」


あたしは梓の隣に腰かけ、声を潜める。


梓はあたしの深刻さに首を傾げた。


「トイレ。緊張し過ぎてちょっと水分を取り過ぎたみたい」


梓が肩を可愛くすくめたので、少し安心する。


よかった。


別に何かあったわけじゃなかったんだ。


「それより、ヘンリーは?さっき一緒に出て行ったでしょ?」


「ああ、ヘンリーならなんか他の執事さんに呼ばれてどこかに行ったよ」


……どこかに行った?


「どこに行ったの?」


少し早口で梓に聞いてしまい、梓は驚いて目を丸くする。




< 182 / 296 >

この作品をシェア

pagetop