悪魔なキミと愛契約~守るべきもの~
まだヘンリーについて何かわかったわけじゃないけど、梓とヘンリーがふたりになるっていうのは、ちょっと心配だ。
梓にだけは、この事話しておいた方がいいよね?
用心して悪いことはない。
梓はすぐにひとりで戻って来た。
あたしはすかさず、「梓の所に行ってくる」とルカに言い席を立った。
「あ!サラ。もう自由に動けるの?」
あたしを発見した梓は席に座りながらあたしを見上げる。
「今どこ行ってたの?」
あたしは梓の隣に腰かけ、声を潜める。
梓はあたしの深刻さに首を傾げた。
「トイレ。緊張し過ぎてちょっと水分を取り過ぎたみたい」
梓が肩を可愛くすくめたので、少し安心する。
よかった。
別に何かあったわけじゃなかったんだ。
「それより、ヘンリーは?さっき一緒に出て行ったでしょ?」
「ああ、ヘンリーならなんか他の執事さんに呼ばれてどこかに行ったよ」
……どこかに行った?
「どこに行ったの?」
少し早口で梓に聞いてしまい、梓は驚いて目を丸くする。