溶ける温度 - Rebirth -

「美弥ちゃん、飲みすぎには注意な」

「明季(あき)が飲まないから私が代わりに飲んであげてるのよ。」

「はいはい。……明季、頼むよ?」

「…ありがとう、マスター。私のせいだから今日は大目に見て」


マスターは苦笑しながら、「終電には間に合わせて帰りな、美弥ちゃんつぶれそう」と、ごもっともな意見を私たちに呈し、別のお客さんのところへ歩いて行った。


美弥は、あの男は最初から怪しかった、だからあの時すぐに確かめなさいって言ったじゃない、と、まだまだ私に言いたいことがあるらしく…。
徐々に気持ちがエスカレート。

私は周囲の視線も気になり始め、マスターに助けを求めたけれど、そんな様子を知ってか知らずか、マスターは楽しく別のお客と談笑中である。

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