溶ける温度 - Rebirth -
美弥はたまった涙をこぼすのも厭わないかのように、頬を濡らしていく。
私は美弥の言葉にうん、うん、と相槌を打ちながら、美弥の涙をふくためにハンカチを手渡した。
それを受け取って涙を抑えている美弥。その姿を私は一瞥し、私は手を軽く上げてマスターを呼んだ。
マスターは私たちの様子にすぐに気づき、状況を察知すると、スマートにタクシーを手配をしてくれている様子だ。
もう一度美弥に向き直る。泣きたい状況に置かれているのは確実に私の方だけれど。
美弥はいつも泣けない私のために泣いてくれる。
口が達者だから強い物言いなときは多いけれど、実は誰よりも友達思いだ。これは大学から変わらない、美弥の優しい一面。
マスターが新しいおしぼりを持って私たちのテーブルに近づいた。困ったような表情を美弥に向けると、マスターは、美弥ちゃん落ち着いて、と優しく声をかけていた。