苦恋症候群
「ごめんね葉月さん、ありがとう。助かったよ」
「いえ。あたしもたまに、田口副部長には困らせられるので」
「あはは、女子の敵だ。けど私、ほんとは迎えに来てもらうどころか彼氏すらいないんだけどねー」
そう自虐っぽく言って笑ってみせるけど、目の前にいる葉月さんはじっと自分の足元を見つめたまま微動だにしない。
私が疑問に思うよりも先に、彼女が口を開いた。
「森下さんは……今付き合ってる人、いないんですね」
「え? うん。いないよ」
「……そうですか。じゃあ──、」
そこでようやく、葉月さんは顔を上げた。
大きなまるい瞳が、ぴたりと私を射抜く。
「先月の……宮信会の、次の日は。何をされてたんですか?」
「……っえ」
何か確信めいた、彼女の質問。どくんと、一際大きく心臓がはねた。
宮信会の、次の日っていったら……三木くんが家に泊めてくれた翌日で、起き抜けになんやかんやあって、結局私のアパートまで送ってもらって。
……一体なんて答えればいいの……!
「いえ。あたしもたまに、田口副部長には困らせられるので」
「あはは、女子の敵だ。けど私、ほんとは迎えに来てもらうどころか彼氏すらいないんだけどねー」
そう自虐っぽく言って笑ってみせるけど、目の前にいる葉月さんはじっと自分の足元を見つめたまま微動だにしない。
私が疑問に思うよりも先に、彼女が口を開いた。
「森下さんは……今付き合ってる人、いないんですね」
「え? うん。いないよ」
「……そうですか。じゃあ──、」
そこでようやく、葉月さんは顔を上げた。
大きなまるい瞳が、ぴたりと私を射抜く。
「先月の……宮信会の、次の日は。何をされてたんですか?」
「……っえ」
何か確信めいた、彼女の質問。どくんと、一際大きく心臓がはねた。
宮信会の、次の日っていったら……三木くんが家に泊めてくれた翌日で、起き抜けになんやかんやあって、結局私のアパートまで送ってもらって。
……一体なんて答えればいいの……!