苦恋症候群
麻智に教えているのは、屋上でたまに会うってことくらいだ。
なんかこう考えてみると、私と三木くんって、なんだかんだ関わりあるなあ……。
「あ。麻智、危ない」
「わ、」
背後から文哉さんの声が聞こえたと思ったら、隣を歩いていた麻智の身体が後ろに傾いた。
どうやらすれ違った派手な格好の若者たちにぶつかりそうになった彼女の手をひいて、文哉さんが守ってくれたようだ。
そのまま麻智の手を握りしめた彼は、自分の隣に並んだ彼女に向かってにこりと微笑む。
「やっぱり麻智、危なっかしい。ちゃんとつかまえておかないと」
「あ、ありがと、文哉くん……」
一緒に歩いている私たちなんてお構いなしで、甘い雰囲気を飛ばすふたり。
私は言葉を失って、若干呆れた眼差しを向けてしまう。
いつの間にか私の隣に来ていた三木くんが、ぼそりとつぶやいた。
「融資窓口で対応してたときも、思ってましたけど。ちょっとこわいですよね、武藤さんって」
「……そうだね、きみもわりと人のことは言えないけどね……」
そうこうしているうちに、私たちは花火大会会場へ到着する。
あと1時間ほどで花火が始まるからか、会場になっている河川敷はたくさんの人で溢れていた。
ずらりと並ぶ露店の数々を見ていると、自然と気持ちが高ぶってくる。
なんかこう考えてみると、私と三木くんって、なんだかんだ関わりあるなあ……。
「あ。麻智、危ない」
「わ、」
背後から文哉さんの声が聞こえたと思ったら、隣を歩いていた麻智の身体が後ろに傾いた。
どうやらすれ違った派手な格好の若者たちにぶつかりそうになった彼女の手をひいて、文哉さんが守ってくれたようだ。
そのまま麻智の手を握りしめた彼は、自分の隣に並んだ彼女に向かってにこりと微笑む。
「やっぱり麻智、危なっかしい。ちゃんとつかまえておかないと」
「あ、ありがと、文哉くん……」
一緒に歩いている私たちなんてお構いなしで、甘い雰囲気を飛ばすふたり。
私は言葉を失って、若干呆れた眼差しを向けてしまう。
いつの間にか私の隣に来ていた三木くんが、ぼそりとつぶやいた。
「融資窓口で対応してたときも、思ってましたけど。ちょっとこわいですよね、武藤さんって」
「……そうだね、きみもわりと人のことは言えないけどね……」
そうこうしているうちに、私たちは花火大会会場へ到着する。
あと1時間ほどで花火が始まるからか、会場になっている河川敷はたくさんの人で溢れていた。
ずらりと並ぶ露店の数々を見ていると、自然と気持ちが高ぶってくる。