苦恋症候群
おでんを買ってお会計するときは、一旦手を放される。
だけどまた人混みの中に歩き出す直前、しっかりと左手を握られた。
うう、恥ずかしい……。
彼氏じゃない人と手をつなぐのって、こんなに恥ずかしいものなんだ。
「森下さん、あと何買いたいですか?」
「あ、ええっと……」
うろうろ、並んでいる露店に視線を走らせる。
そして目に飛び込んだ看板に、思わず顔をほころばせた。
「三木くん、あれ! りんごあめ!!」
「……すでにデザート気分ですか」
「だって、お祭りにりんごあめは欠かせないでしょー!」
お店を指さしながらはしゃぐ私に、三木くんが一瞬ふっと口もとを緩めた。
その表情にドキッとしたのもつかの間、彼はすぐにいつもの無愛想に戻って「仕方ないですね」と歩く向きを変えた。
……なんか、今の微笑みは馬鹿にされた気分。
な、なによう……アラサーがりんごあめではしゃいで、悪かったですね!!
頭の中でそうは思っても、なんだか今日やたらと見てる気がする三木くんの笑顔にちょっとだけやられているのも事実。……だって三木くん、黙ってればイケメンなんだもの……。
そりゃあ、ただの会社の後輩っていったって……顔が整った男の人の笑顔なんて見ちゃったら、多少はドキッとしちゃうよ。
だけどまた人混みの中に歩き出す直前、しっかりと左手を握られた。
うう、恥ずかしい……。
彼氏じゃない人と手をつなぐのって、こんなに恥ずかしいものなんだ。
「森下さん、あと何買いたいですか?」
「あ、ええっと……」
うろうろ、並んでいる露店に視線を走らせる。
そして目に飛び込んだ看板に、思わず顔をほころばせた。
「三木くん、あれ! りんごあめ!!」
「……すでにデザート気分ですか」
「だって、お祭りにりんごあめは欠かせないでしょー!」
お店を指さしながらはしゃぐ私に、三木くんが一瞬ふっと口もとを緩めた。
その表情にドキッとしたのもつかの間、彼はすぐにいつもの無愛想に戻って「仕方ないですね」と歩く向きを変えた。
……なんか、今の微笑みは馬鹿にされた気分。
な、なによう……アラサーがりんごあめではしゃいで、悪かったですね!!
頭の中でそうは思っても、なんだか今日やたらと見てる気がする三木くんの笑顔にちょっとだけやられているのも事実。……だって三木くん、黙ってればイケメンなんだもの……。
そりゃあ、ただの会社の後輩っていったって……顔が整った男の人の笑顔なんて見ちゃったら、多少はドキッとしちゃうよ。