苦恋症候群
「……あんたに、何がわかる」

「え」



いつだって、常に薄くはりつけられていた彼の仮面が、はがれ落ちた瞬間だった。

嘲笑めいたその言葉に、私はベッドに倒された体勢のまま三木くんを見つめる。

立ち上がった彼は、そんな私をやはり苦しげな表情で見下ろしていた。


またぽつりと、彼がつぶやく。



「……いやだ」

「え、」

「あんた、いやだ。……嫌いだ」



胸に深く突き刺さる冷たい言葉を放ち、三木くんが私から顔を逸らした。

なのに、完全に顔を背ける直前見えた彼の横顔は……なぜだか、今にも泣き出しそうに歪んだもので。


なんで、どうしてよ。

たった今、私を突き放す言葉をぶつけたのは三木くんでしょう。

どうしてきみが、そんなカオをするの?


そうは思うけど、じわじわと目もとにこみ上げてくる熱を押さえ込むことができない。

今度は私が彼から顔を背けるようにしながら、急いでベッドから身体を起こした。
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