苦恋症候群
「ゆ……ッ」



俺の太もものあたりに、雪妃はまたがっている。

触れたところから伝わるそのやわらかさは、今まで気にしたことはなかったけれどやはり“オンナノカラダ”で。

それを意識してしまった俺の身体は、素直に熱を持つ。


……だけど。



「や、めろ……っ!」



言いながら、俺の素肌を這う彼女の手を掴んだ。

不意を突かれたように揺れたその瞳に、思わず罪悪感がこみ上げる。けれど下くちびるを噛んで、まっすぐにその顔を見上げた。



「……ごめん。ごめん、ずっと、苦しめて」

「はるか……」

「でも、俺──……雪妃姉さんと、そんなこと、できない」



このとき初めて言った、『姉さん』という呼び名。

俺はそれを、否定の言葉に使ったのだ。


とたん、彼女の顔がまた、泣き出す直前のようにくしゃりと歪む。

だけどパッと俺の身体の上から退いたかと思うと、1度はうつむかせていた顔を、再びこちら側に向けた。
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