苦恋症候群
どうして。どうしてどうして。

どうして雪妃が、こんなことに。


近づいた彼女の瞳は虚ろで、何も映していない。

もう、どうしたって、助からないって。わかってても、それでも、その変わり果てた身体にすがりついた。



「雪妃、ゆきひっ、しっかりしろよ……!」



だらりと力の抜けた身体は、何の反応も見せない。

彼女の首もとから垂れ下がったネックレスが、僅かな光を反射してきらりと輝いた。


まだ、あったかいのに。さっきまで、一緒にいたのに。

どうして、なんで。



「……ッ、うあ、ゆきひ……ッ」



とめどなく涙が溢れる。残酷なほど美しい白の中で、彼女の命は消えた。

頬に触れる。それでも俺を見ない。

何も、映さない。



「……ッう、うあ……ッ」



雪妃。雪妃。

もう1度、目を開けて。

俺の顔見て、笑ってみせて。
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