苦恋症候群
ああ、あたしほんとに、ヤマくんとしちゃったんだ。

酔った勢いでとった行動はロクなことにならないって、わかっていたはずなのに。あたしは昨晩、差し出された手をとって、ノコノコこの人について来た。

けどそれは、相手がヤマくんだったからっていうのも、あったと思う。

あたしは、絶対的に彼を信用してた。だから、ヤマくんならって、思ってしまったのかも。



「……なに、考えてんの」

「えっ」



なんだか不機嫌そうな声が聞こえて顔を上げると同時に、右の二の腕を掴まれる。

抵抗する間もなく、そのままの勢いで布団に引きずり込まれて。気づいたら、ヤマくんがあたしを押し倒すような格好で、じっとこちらを見下ろしていた。



「や、やま……」

「昨日は、あんだけ俺の名前呼んで乱れてたくせに。もう余所事か」



小さく笑みを浮かべながらのそのセリフに、カッと頬が熱くなる。

とっさに身体を動かそうとしたけれど、両手首をがっちりシーツに押さえつけられていて、びくともしなかった。
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