苦恋症候群
どくん、どくん。心臓が、大きく鳴る。



「っちょ、や、やめ……っ」



ヤマくんがあたしの両手を頭上でひとつに束ね、空いた左手で太ももを撫でてくる。

これははっきりと、官能的な意味を含んだ接触だ。身体が熱くなって、じわりと涙が浮かんできた。


ま、まさか、朝からまた致す気?!

ちょ、あたしまだ、全然ダメージ回復してない!! ていうか、昨晩1回きりのアレじゃなかったの??!


下着も何も身につけていないから、あたしの胸や素肌は、あっさり彼には見えちゃっている。

ちゅっとあたしの鎖骨に口づけて、ヤマくんがふと口角を上げた。



「葉月、エロい。明るい中で思いきり顔見ながらするのも、いいな」

「~~ッ」



あまりにも恥ずかしすぎる物言いに、言葉を失う。

その隙に、ぐっと彼が顔を近づけてきた。そうしてためらいもなく、くちびるを塞がれる。
< 340 / 355 >

この作品をシェア

pagetop