苦恋症候群
「『嫌』って言うわりに、身体は素直。俺のこと、受け入れる準備万端だし……葉月今、すっごいやらしい顔してる」

「ッな」

「つーか俺、葉月は処女だと思ってたんだけど、違ったんだな。まあ、痛がってるのにやるのは心苦しいから、いいけど」

「~~ッ」



ゆ、ゆうべ最初の方痛がってたときにも容赦なく攻めてきてたくせに、何を言うか……!

たしかにあたしは、昨日のアレが初めてではなかった。

それは社会人になってすぐ、友達の紹介で2ヶ月ほど付き合った人が実はいたからで……だけどその人以降、これまでずっと彼氏はいなかった。

だから、その……ああいうことするの、すっごく久しぶりだったのに!! なのに、あんな、あんな激しくて濃厚なの……!!



「ッ、へんたい……っ」



涙目のまま、その涼しい顔を睨みつける。 

せめてもの抵抗にと意を決して放った暴言は、彼が鼻で笑ったことによってあっさりと一蹴された。
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