苦恋症候群
外に出て階段を下りると、アパートの敷地の入口あたりに見覚えのある車が停めてあるのを見つけた。
パールホワイトのインサイト。ヤマくんの車だ。
1年くらい前、彼のお兄さんに安く譲ってもらったというそれ。お兄さんの趣味なのか、少し車高が落としてあって、タイヤのホイールも普通より大きい。
前に彼が乗っていたのは真っ黒なノートだったし、私服も黒っぽいものが多い。だからヤマくんがこの白い車に乗っているのを最初に見たときは、ちょっと違和感があったんだけど。
でも、いつも嘘がないヤマくんだから。白は、実は彼に1番よく似合う色なのかもしれない。
いつ見てもピカピカなその車に、あたしは近づいた。
「……お疲れさま、ヤマくん」
「お疲れ」
わざわざ手を伸ばして、彼は助手席側のドアを開けてくれる。
気づかれないように、少しだけためらってから。あたしは、助手席に乗り込んだ。
パールホワイトのインサイト。ヤマくんの車だ。
1年くらい前、彼のお兄さんに安く譲ってもらったというそれ。お兄さんの趣味なのか、少し車高が落としてあって、タイヤのホイールも普通より大きい。
前に彼が乗っていたのは真っ黒なノートだったし、私服も黒っぽいものが多い。だからヤマくんがこの白い車に乗っているのを最初に見たときは、ちょっと違和感があったんだけど。
でも、いつも嘘がないヤマくんだから。白は、実は彼に1番よく似合う色なのかもしれない。
いつ見てもピカピカなその車に、あたしは近づいた。
「……お疲れさま、ヤマくん」
「お疲れ」
わざわざ手を伸ばして、彼は助手席側のドアを開けてくれる。
気づかれないように、少しだけためらってから。あたしは、助手席に乗り込んだ。