苦恋症候群
言うだけ言ってぐすぐす泣きじゃくるあたしの前で、ふっとヤマくんが息を吐いたのがわかった。

それに過剰に反応して、おそるおそる、彼を見上げてみると。



「……なにそれ。そんなこと、考えてたのか」



言いながらヤマくんは、予想外に笑っていた。

その表情に驚いて固まるあたしの頭を、ポンとやさしくひとつ叩く。



「馬鹿葉月。俺がそんな最低なこと言うと思ったか」

「え……ち、がうの……?」

「……俺が、言おうとしてたのは、」



頭に置かれていた手が、顎に下りてきた。

そのままくいっと、顔を上向かせられる。

今度は目の前に、彼の真剣な表情。



「すきだ。俺と付き合ってくれ」

「……え……」



低い声が、頭の中に甘く響く。

たぶん、今のあたしはぽかんと間抜けな顔をしてしまっている。そんなあたしを見て、ちょっとだけヤマくんが不機嫌そうに眉をひそめた。
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