苦恋症候群
三木くん、笑うと結構かわいいんだ。

この顔は、アルコールが入ってるからこそ見れたのかな。そうだとしたらラッキーなのかも。

思わずうれしくなってしまって、私は調子良くグラスを空けてしまう。



「森下さんて、酒好きなんですね」

「ん? 好きだよ~。あ、すみません私も、カシスオレンジで!」

「……好きなだけじゃなくて、かなり強そう」



会話の合間に通りがかりの店員さんにさりげなくオーダーした私に、三木くんが若干呆れたような表情をした。

いつの間にか彼はジャケットを脱ぎ、ワイシャツも軽く腕まくりしてる。


……おおーう、いい腕の筋肉。何かスポーツやってんのかな。

やっぱりひょろひょろのもやしより、多少筋肉質な方がいいよなあ。



「何ガン見してんですか、森下さん。目つきがいやらしいです」

「ん~? いやぁ、三木くんのワイシャツから覗く腕がセクシーだなあと」

「そんなあけすけに何言ってんですか。真柴支店長に言いつけますよ」



彼としては、お酒の席での、ほんの軽口のつもりだったんだろう。

だけど『真柴支店長』というその言葉に、わかりやすく肩を揺らした私を見て。

目の前の彼が、不審げに眉を寄せる。
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