苦恋症候群
「……あのね。私今まで、付き合った人に自分から別れを告げたことなかったの。それがどんなひどい相手でも」

「へぇ」



頬杖をついて興味なさそうにしながら、それでもやっぱり、三木くんは話を聞いてくれる。いじけモードな私の話でも。

これはモテるよなあって頭の片隅で思いつつ、また口を開く。



「いっつも、何するにも受け身だったんだよねぇ、私って。だから、今回初めて自分から『別れましょう』って言って……それって実は結構、自分の中では革命的なことだったんだ」



話しながら、すぐ目の前にある自分のグラスについた水滴をなぞる。

少しの沈黙の後、三木くんがひょいっとそのグラスを持ち上げた。



「なんか察するに、森下さんって今までの恋愛も、あまり人に褒められたようなもんじゃない感じだったんだろうなって思うんですけど」

「……うぅ」

「でも……革命、起きたなら。これからは、わりとまともな恋愛できるんじゃないんですか」
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