苦恋症候群
顎はテーブルに乗せたまま、ちらりと、三木くんをうかがい見た。

彼はなぜか私のグラスを持ち、真顔でこちらを見つめている。


……わりとってあたり、なんだか気になるんだけど。

でもうん、まあ、そっかあ。


私はへにゃりと、笑った。



「うん、そうかなあ」

「まあ、そのあたりは森下さんの男運と恋愛スキルにもよりますけどね」

「うっ、耳が痛い……」



放置しすぎたせいで水っぽくなってしまっていた私の梅酒を通りかかった店員さんに渡しながら、やはり三木くんは淡々と言う。

そして同時に同じものを頼んでくれているあたり、よく気がつく子だよなあ、とぼんやり思う。

すぐに運ばれてきた梅酒のロックを流し見て、私はようやく身体を起こした。



「私だって、人並みにしあわせになりたいだけなんだけどなあ……何がだめなんだろ……」

「それ、女の人よく言いますけど。『しあわせになりたい』って、具体的に、どうなりたいんですか」

「ええー?」
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