苦恋症候群
なんだか呆れたような声音で問われ、私は考えてみる。



「ええっと、ふつーよ。普通に恋愛して、普通に結婚して、普通に子育てして」

「………」

「えっとそれで……普通に、老後を迎えるとか」

「……へぇ」

「なっ、なによー! 三木くんだって、それくらい考えたことあるでしょお!?」



視線に若干哀れみのようなものを感じとり、つい身を乗り出して声を荒らげた。

三木くんは少しだけ考えたような素振りをした後、不意に目を伏せる。



「さあ。ないですね」

「ええ? ほら、結婚したらこんな生活したいなー、とか」

「俺に、そんな資格ないですから」



言いながら、口もとには自嘲的な笑み。

思わず口をつぐんで、初めて見る彼のその表情をまじまじ見つめてしまった。


なんていうか……簡単には、触れちゃいけないような──。
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