苦恋症候群
「ほら、森下さん。ちゃんとタクシー乗ってください」

「んん~」



力の抜けた私の身体を支えて、三木くんがタクシーの後部座席に押し込んでくれる。

この状況は、理解していた。理解しているんだけど、身体がいうことを聞かない。

うーん、こんなになるまで飲んだのは久しぶりだなあなんて、のんきに頭の片隅で思った。



「コーハイくん、ちゃんと家まで送ってけよ?」

「わかってますって。たしか、家の方向は同じって聞いたことあるし」

「ならよかった。だけどハルカくん、送り狼にはならないように~」

「……なりませんよ」



ジュンさんと三木くんのそんな会話が聞こえたような気がしたけれど、そこに自分も言葉をかけることができない。

ゆらゆらと心地良いまどろみに身を任せ、私の記憶はそこでぷつりと途切れた。
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