苦恋症候群
◆ ◆ ◆
「……んん?」
まぶたを刺激する光を感じて、私はゆっくりと目を開けた。
……窓がある。ネイビーのカーテンの隙間から光が漏れていて、それがちょうど私の顔に当たっていたようだ。
そして、私が今横たわっているのはセミダブルサイズのベッド。大きいふかふかのまくらに頭を埋め、軽い羽毛布団にくるまっている。
…………ええっと。
どこかな、ここは。
寝ぼけた頭でそう思ったと同時に、ガバリと上半身を起こした。
え、なに、ここどこ??!
きょろきょろ辺りを見回すけど、自分の部屋じゃないことは間違いない。
記憶をたぐり寄せても、三木くんと飲んでジュンさんの店を出て、タクシーに乗せてもらってからの記憶がすっぽりと抜けている。
私はたくさんお酒を飲んでもめったに記憶が飛んだりしないし、次の日だってちょっと身体がだるいだけで、典型的な二日酔いらしい頭痛や吐き気に襲われたりしない。
だから経験少ない分、記憶がないってほんとこわいんですけど……!