Chocolate Fondue
「僕、誰にでもあんなことするわけじゃないんです。人前で、あんなことしたのだって、初めてで……」
必死に説明する三栗に、香神は優しい気持ちになっていた。
「わかってますから、三栗さんがそんな人じゃないって。だから、この話はもうやめましょう」
「あ、はい。すみません……」
三栗はますます恐縮している様子だ。
そんな空気を和らげるように香神が言った。
「チョコレート、おいしかったですね」
「ええ、おいしかったです」
「それに、フォンデュ楽しかった」
「うん、ほんとに楽しかった」
やっと二人に笑顔が戻る。