Chocolate Fondue

「僕、誰にでもあんなことするわけじゃないんです。人前で、あんなことしたのだって、初めてで……」


必死に説明する三栗に、香神は優しい気持ちになっていた。


「わかってますから、三栗さんがそんな人じゃないって。だから、この話はもうやめましょう」

「あ、はい。すみません……」


三栗はますます恐縮している様子だ。
そんな空気を和らげるように香神が言った。


「チョコレート、おいしかったですね」

「ええ、おいしかったです」

「それに、フォンデュ楽しかった」

「うん、ほんとに楽しかった」


やっと二人に笑顔が戻る。

< 12 / 23 >

この作品をシェア

pagetop