Chocolate Fondue
しばらくして、三栗が香神の体をそっと離した。
二人の瞳がうるんで、揺れていた。
香神は恥ずかしくて三栗と目を合わせらずに、うつむいた。
「あの……」
三栗が口を開いた。
「はい」
こんな場面ですら、香神はやっぱり真面目に返事を返してしまう。
「返事を聞く前に……」
「え?」
「何か…また……勝手に…あの……」
三栗の謝罪の言葉が聞きたくなくて、さえぎるように、香神は言った。