パパは幼なじみ
「高田先生か。真奈の副担だもんな。愛ちゃんが先生って違和感だなぁ」

拓人は神妙な顔で呟く。

「そこはいいから」
「あ~と…愛ちゃんから会社に直で電話きたんだ。5時半すぎくらいか?」


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プルルルル プルルルル プルル

「はい、釜本出版…はい、はい、あぁ少々お待ちください。森口!電話、回すぞ」
「俺…?あ、はい。……もしもし、お電話代わりました、森口ですが」

突然の電話。こんな時間に、携帯以外で俺あてに電話がくるなんて珍しいことだった。


“もしもし、拓人くん?覚えてるかしら、私のこと…”


この声は……


「まさか…愛ちゃん?」
“覚えてくれていたのね!嬉しい!そう、高田愛桜です。”
「子供の時以来だな!元気してたか?」
“えぇ、元気よ。私、高校の先生になって、こっちに戻ってきたの。”
「高校の先生!?」
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「それから、今会社の近くにいるから仕事終わりにでも会えないかって言われて、まぁ今日は早めに切り上げるかと思って退社して、料理作りたいって言うから、一緒に帰ってきたわけだ。」
「なんか、私に関わる話とか…してた?」
「あぁ!そういえば!」

私の不安な顔とは裏腹に、拓人は楽しそうな声で答えた。




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