まだあなたが好きみたい

(じゃあやっぱり窪川の私物ってこと?)


睦美は眉根を寄せた。


なんで? なんでどうして? 


細胞分裂みたいに次から次へと疑問符が増え続け、頭の中を埋め尽くす。


指先がふるえる。

猫に罪はないながら、その無垢な眼差しが憎らしくてならなかった。

無意識に戦慄く唇を固く結ぶ。

眺めれば眺めるほど、睦美はこみ上げる苛立ちを抑え切れなかった。

このフォルム。パーツ。色使い。可愛いの一言。

およそあいつに似合わない。

いや、似合う似合わないの問題以前に、あいつ自身、かつてわたしにこう言った。


冗談だろ。


一蹴だった。あのときは。

このようなものをお揃いで持とうと言って、すげなく拒否された。

そうだ、わたしのときは拒否したくせに。それなのに。

それなのに。


(そんなに、いいの?)


睦美は煮えたぎるような気持ちでそう思った。


あの子が。

そんなに。

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