まだあなたが好きみたい
奥まった場所に位置しながら、その外観は忍んでいるという奥ゆかしさはほとんどなくて、およそ堂々としたものである。
高校生が入ってもいいホテルなんてあるんだなと変なところで感心しながら、同意を求めるように彼女を見ると、彼女ははにかみつつもはじめからわかっていたとでも言うようにむしろ自分から先を促した。
若干、毒気を抜かれながらも有正はあくまで悠然とした足取りで入り口をくぐる。
いつからか着いてきている眼鏡の気配を背後に感じながら。
「先にシャワー、浴びてきたら?」
ぞんざいにカバンを下ろすと、有正はどっかとベッドに腰かけた。
すると思いがけないやわらかさで、後ろに体重を持って行かれそうになり、咄嗟に腹筋に力を入れて醜態を免れる。
「いいの?」
「俺はあっという間だから」
あ、でもその前にと、有正は彼女を引き寄せて座らせた。
緩んだ顔つきに、なに? との白々しい科白を、期待どおりのキスで蹴散らす。
こっそりと部屋のドアが開かれる気配に、彼女の耳を覆うように手を伸ばした。
剥ぎ取るように彼女のブレザーを脱ぎ取ると、華奢な腕が有正の首に伸ばされた。