まだあなたが好きみたい

「は? な、なんでそうなんだよ!」

「この大雪の中、よくわたしを後姿で見分けたと思って。すごすぎて気持ち悪かったのよ」

「きもっ……!?」


直接過ぎる言葉に衝撃を受け、硬直した窪川だったが、なぜか次の瞬間、急にとろけたような笑顔になって、


「素直じゃねーなー」


と茶化すように菜々子を指差した。

は? と菜々子は冷ややかな目を向ける。


「悪い悪い、嘘だよ、嘘! 嘘だって! さっき、熱心に手ぇ合わせてる横顔が見えたんだ。神殿を離れたらすぐにも声をかけようと思ってスタンバってたんだけど、俺としたことがうっかり目ぇ離しちまって。ところでおまえ、なにをそんなに熱心に祈ってたんだ? ダイエットか?」

「好きな先輩が試験に受かりますようにってよ」

「は、はあっ!?」


すごい形相で窪川が叫んだ。


「……う、うそだろ? おまえ、好きなやついんの? 誰? 誰だよ、そいつ、なあ」

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