桜の木の下で-約束編ー






また逢える?

あの桜の木の下で?






彼が浮かべた寂しそうな瞳が、
表情が気になって脳裏から離れない。





プラチナの髪。
朱金の瞳。




プラチナの髪は風にたなびいて、
とてもサラサラしていた。


朱金の瞳は視線を合わすと、
その中に吸い込まれそうだった。



だけどその瞳は寂しそうで。



私の瞳にはすぐにでも
消えてしまいそうなほどに
脆く見えた。






……もう一度逢いたい……。





逢ってそのわけを知りたい。



考えるのは、
初めて出逢ったばかりの
鬼の少年のことだけ。



彼が知りたい。




彼がどうして桜の木から、
物憂げに悲しそうに見つめているのか。





逢わなきゃ。


ちゃんと心で信じて、
運命は自分で切り開かなきゃ。






バスタオルで髪の毛を
ワシャワシャとタオルドライした後、
ドライヤーを手に取って
温風で髪を乾かしながら、
手元のリモコンでTVをつける。





自室にあるTVも普段、
なかなかつける時間がない。



そんなめったに使われないTVが
映し出すのは、歌番組。




歌番組じゃん。



今日木曜だったんだ。


< 26 / 299 >

この作品をシェア

pagetop