小さな死神
始まり

小さな出会い

今日は、雨かよ。しかし参ったなぁ。
いつになったら止むんだ?

俺、山田慎平って言うんだけど、オタっぽい名前(全国の山田さん及び慎平さん、失礼しました)だから商売上の名前、津上・・・名前は・・・無い。つか、考えてない。
商売?探偵だよ!た・ん・て・い!!!

公園の片隅のあずまや。今日の調査は、妻が浮気してるらしい。
誰だ?よくある話って言ってる奴は?よくあるから仕事になるんだよ。
公園の向こうにターゲットの家。
普通に普通の二階家なんだけど、外壁がなぜか白に薄青のストライプが入ってる。
どっかの大手のアパートみたいな・・・?レオなんとかみたい。
二階に人影が動くのが解かった。が、今日も出掛けないのかよ。
今日で3日目・・・出掛ける気配すらないんだなぁこれが。浮気なんて旦那の気のせいじゃねーの?

小降りだった雨がいきなりの土砂降り。
くっそぉ~!何見えねーぞ!
数瞬後、あずまやに走りこんできた影。
片方の目だけで見る。あれは!?紺のブレザー!?近所の高校の女子高生だった。
はあはあと肩で息をしている。
びしょぬれで滴が落ちて地面が黒くなっていく。

おいおい、参ったなぁ・・・
実は俺、若い女がひどく苦手だ。分別も何も無いこのくらいの世代が非常に・や・ば・い・・・
街を歩いててすれ違いざまに笑われたら、何気に自分の服装を確認したり・・・チャック開いてないか確認したり。しかもさりげなく。ある程度は姑息に。
見た目に自信ない。探偵ならかっこいいかなと思って始めたけど(松田優作みたいになりたくて。DVDボックス持ってるし)しかし、現実は、かなり違っていた。
いい気になってヴェスパで尾行や張り込みしてたら、あれって結構目立ったりする。一度は尾行がばれて逃げられたし。
黒いスーツに黒いシャツも単なるビジネスマンかその筋の人にしか見えないし。極めつけは黒い帽子・・・目立ってしょうがない。あれはTVドラマの中だからいいんであって、実際やったら単なる目立ちたがりでしかない。

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