小さな死神

冷酷

キッチンの入り口に立ち尽くす由香。
ダイニングテーブルの横に由香のお父さんとおぼしき人が頭から血を流して倒れていた。
見た感じ生きているようには思えなかった。
「そいつが悪いのよ。あたしの食事を作らなかったから。」
いつの間にか後ろに加奈が来ていた。右手にはピカピカ光った包丁が握られていた。津上は近づこうとしたが、加奈が余りにもさえこに接近しすぎていて危険だった。
「あんたねぇ自分のやった事が分かってるの?」
「は?何の事?」
「何人殺せば気が済むの?」
「関係無いでしょ?」
「あんたは犯罪者なんだよ。」
「犯罪?どうして?」
「今も昔も殺人は犯罪なんだ。」
さえこは不振に思った。この自信満々はどこから来るんだろうか?
「そんな事知らない。関係ない。」
「・・・妹は12歳だよ。まだ罪にはならないんだよ。」
押し黙っていた由香が言った。
「そうなんだ。」
加奈はにっこり笑った。氷の様に冷めた笑い。さえこは心から震えた。
「罪にはならなくても補導なり保護なりされるはずだ。医療少年院送致も有り得る。」
と、津上は嫌悪感を隠さなかった。
「そんなのどうでもいい。捕まっても死んでも。生きている価値の無い子なんだから。」
自暴自棄な言葉だけど、さえこは加奈が本気で言ってる様にはどうしても思えなかった。
「どうしてお母さんを・・・。」
「お母さん?誰の事?あの女はお母さんなんかじゃない。毎日毎日訳の解からない事を猫撫で声で言って!おまけに変な女連れて来るし。うるさいったらありゃしない!もうほっといて!いい加減にして!」
加奈は半狂乱で包丁を振り上げた。
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