小さな死神

逃亡

津上は右腕を押さえてる。指の間に血が滲んでる。後から後から溢れてくる。
「だっ大丈夫?」
さえこはほんとに心配してるようだった。
「かすり傷だよ。平気・・・ちょっと痛いけど。」
遠くに救急車の音が響いてきた。

「そんな馬鹿な。相手は中学生だ。じゃ章介を殴ったのもそうだっていうのか?」
お馴染みの木戸警部。
「殴るとこは見てはいないけど、本人はそうだって言ってた。」
津上の右手は救急隊員によって包帯を巻かれてる最中だった。
「津上さんはあたしを助けてくれたの。」
後ろからさえこの声がした。さえこはヒステリー状態の由香を2階の部屋に連れていったままだった。
「さえこ?なんでお前がここにいるんだ?」
「え?木戸さん?この子知ってるの?」
「知ってるも何も俺の娘だ。」
「娘!・・・そ、そうなんだ。」
これで謎が解けた。さえこの情報源が木戸警部。どうりで事件について詳しい訳だ。
その時木戸は胸ポケットから携帯を出して耳に当てた。暫く話して、切った。
「北村章介は助かったって言うか、気絶していただけだった。
しかし、本当に北村の娘がやったのか?」
「外のマスコミに聞いてみな。俺たち以外に出入りした者はいないはずだから。」
「分かった。それは後で確認してみよう。
ところで肝心の娘はどこだ?」
「さっきの騒ぎの最中逃げた。どこへ行ったんだろうね。」
木戸は急いで外へ行った。すぐに戻ってきてため息を付いた。
「緊急手配って中学生をか?傷害と殺人未遂で。世も末だな。」
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