私立聖星魔法学園

聖星魔法学園の学生寮

「着きましたよ。ここが聖星魔法学園の学生寮です」



入ったときと同じく裏門から学校からでると、しばらく歩いていた足を止めた聖夜が振り向いて言った



「ここが・・・この世界の学生寮」




はたして学生寮と言っていいのか疑問にすら思う目の前の建物は、まるで―・・・・・



「なんだよここ・・・城か?」



ポカーンと口を開けている大介の言葉はこの建物を表現するのにピッタリだった




「見た目はこんな感じですが、なかは普通の建物と大差ないので安心してください」




苦笑する聖夜のあとに続いて学生寮に足を踏み入れる





中は聖夜の言うとおり、あまりもともといた世界のものと変わらなかった




(まあそれは建物だけで、あとは全部向こうじゃありえないものばかりだけど)




たしかに中の造りは向こうと大差ないが、廊下を歩く生徒や装飾品、それだけでなく、よくわからない生き物がそこらへんを飛び回っているのが異様だった




「この学生寮は一部屋二人のルームシェアになってます。お風呂やトイレ、キッチンなど生活に必要なものは部屋の中にありますので、必要なときは使ってください」



「ルームシェアの相手ってもう決まってるの?」



「一応決まってますが、僕には知らされてないんです」




すみません、と言う聖夜に笑って首を横に振る




「ルームシェアの相手はもちろん同姓ですが、棟ごと、階ごとなどで男女は別れていません。なにも起こらないと思いますが・・・一応気をつけてくださいね」



主にあたしを見ながら言うと、チラッと大介の方を見る



そのときの微笑みがなぜだか威圧感があり、大介も慌てて大きく頷いた




「ほかにもいろいろと施設がありますが・・・それはまた今度案内しますね。さて、着きましたよ。ここが恵さんの部屋です」




しばらく歩いていると廊下の一番奥にある扉の前で足を止める




扉には「1025」という部屋番号が振り分けされている





「荷物はすでに中に運んでおいたので今日はゆっくり休んでください。なにかわからないことがあればこれで連絡してください」


そう言って小さな鳥の形を模したガラスを渡される



「使い方は中の人も知ってると思うので、その人に聞いてください」



「わかった、ありがと」



「いえ、では僕は大介くんの部屋を案内するので失礼しますね」




ニコッと優しく微笑むと聖夜は大介ともと来た廊下を歩きだした




聖夜たちの姿が見えなくなるのを確認すると、改めて扉と向き合う






「・・・・・・・よしっ!!」




自分に喝を入れると目の前の扉を押した
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