~D*A doll~
「……はぁ」
冷たい水を勢いよく腕にかけ、唾液は既に落ちていても、まだ燻る龍翔の舌の熱も流し落とそうと徹底的に水で腕を冷やした。
……もういいか。
数分流水を当てたことで逆に冷えすぎたぐらいだ。リビングには冷房が掛かっていて快適だけどここは閉め切られた空間だから暑い暑い。
傍にあったタオルを取り、腕を拭く。
このまま隣にあるシャワーを浴びてもいいけどリビングに居たら涼しいからいいや、とタオルをぽいと籠に入れてドアに手を伸ばしかけたところで。
ガチャリ、と勝手にドアが開いた。
「あれ?」
……びっくりした。
咄嗟に一歩後ずさってしまい、バグバグと鳴っている心臓に手を当てる。
「……諷都くんかぁ」
あぁ焦った。突然ドアが開くものだから何事かと思った。
「莉々花ちゃんじゃん。コンビニから帰って来てたの?」
そう今日も相変わらずの爽やかな笑みを浮かべている諷都くんは汗だくだった。あのグータラなリビングに諷都くんはもちろんいなかった。
汗をかいていても全然暑苦しさはないんだから流石としか言いようがない。
「結構前にねぇ。諷都くんはどうしたの?」
「ちょっと走って来たんだ。いい汗かけたしシャワーでも浴びようかと思って」
そしたら莉々花ちゃんがいたからびっくりした、とにっこりと笑みを浮かべる諷都君の眩しいこと眩しいこと。あぁかっこいい…。