~D*A doll~
「…はぁ」
イライラを通り越してタメイキが漏れる。
勢いで退学しちゃったけど…この後どうしよう?
今更ながらに考えると停学より退学の方がめんどくさいかもしれない。
別の学校に行かないといけないもんなぁ。
試験とか受けるのか。
今の学校もせっかく苦労して入ったのに。
そんな簡単に辞めるんじゃなかった。
なーんて事を考えながらまだ授業中である自分の教室へと入る。
もちろん多少後悔しても、退学を取り消してもらおうなんて考えはさらさらない。
がらがら~~。
大きな音が静かな教室に響き渡るが、あたしが入ったことによってうるさくなった。
「あれ~?莉々香じゃん?どこ行ってたんだよ?」
「サボり~?俺もサボりてぇー。」
呑気な男の声と、
「……櫻井さんって校長室に呼び出しされてたよね?」
「何をやらかしたんだろうねぇ?」
「男に騙されたとか!?キャハハ!」
あたしを全面否定する女の声。
あたしは女の声はスルーし、男たちの輪に入る。
授業中にも関わらず、円を作ってみんなでゲームをしているようだ。
「もう聞いてぇ!あたしさぁ、退学しなきゃなんないの!」
「はぁ!?ちょ、莉々香?いきなりなんでだよ!?」
ゲーム機に向けられていたいくつかの視線が鋭くあたしに突き刺さる。
……何て説明しようか。
「なんかねぇ?あたしがこの学校の印象を下げているから出て行けって…。」
すっごく悲しそうな表情を作り、今も泣きそうな雰囲気を作ってみる。
ホテルで写真撮られて退学ってことは割愛で。
「は?この学校何考えてんの?マジでありえねー」
「だよな?こんな可愛くて天使な莉々香ちゃんを追い出すとか。」
すると複数の派手な男子たちが授業そっちのけで怒り出す。
まぁもともと授業なんて聞いてはいないだろうけど。
内心思い通りに事が行き過ぎて笑いそうになるが、必死に堪えて1人の男への胸へと飛び込んだ。
「あたし、この学校から離れたくないよ…。みんなと、まだ一緒にいたいし仲良くしたい。」
後ろから女たちが「色目使いやがって!あの悪魔!」「男好きにもほどがあるわ!」と騒ぎまくっているがやっぱり無視。
あたしには男だけいればいいんだから。