~D*A doll~




これ以上、自分の姿を見るのが嫌になり最後にニッコリと鏡に笑って見せた。




そして、その笑顔を崩さず職員室のドアをノックして開ける。




「失礼しますぅー。転校?編入?してきた櫻井でーす」




明るく自分の名前を告げると、一人の男の先生がこちらへとやって来た。






あ、あの人が担任?と思ったところで。





……え?





その男の先生を見て固まる。




だってね?




ものすっごーーいカッコいいから。





「おぉ。櫻井か!電話で話した長瀬 咲哉[ながせ さくや]だ」





「………咲哉……先生?」




「おう!櫻井の担任だからよろしくな?」




……え、何このイケメン。





爽やかに笑って更にイケメンさが増している。





「よろしくしちゃうー!!」





そう言って先生にギューっと抱き着いてみた。





人に抱き着くことには抵抗はないし、あたしの中でこの行為にとくに意味はない。





「……は?ちょ、ちょっと!?」





もちろんいきなり抱き着いたわけだから、戸惑われてるけど。





それにぎゅーっと腕で押し返されるけど、離れないように更に腰に回す腕の力を込める。






ヤバ…!




すっごいタイプ!!





抱き着いてみた感じ、筋肉もしっかりしてる。





「は、ちょ、さ、櫻井!?ここ職員室!」




「櫻井じゃなくって。あたしのことは莉々香って呼んで!そうしたら離れてあげる」






上目使いで眺めてみる。





……あれだね、あたし、最初っからぶっ飛ばしちゃったね。





常識的に考えればいきなり抱き着くとか、下の名前で呼べと若干脅すとか捕まるレベルだけど。





そんなの関係ないし。





何て事を思いながらも周りをキョロキョロと眺め、焦っている先生を見つめ続ける。





すると一瞬だけ先生は眉を下げてから。






「…………莉々香、離れて」





あたしの思い通りの言葉をくれた。







「ふふふっ。これからも莉々香って呼んでよ?」






満々の笑みで先生から離れていく。





強引に物事は行った方がいいでしょ?






それにあたし櫻井って苗字大っ嫌いだし。











< 9 / 359 >

この作品をシェア

pagetop