隣人
合コンのお相手は30代の医者と営業マンだった。顔はイケメン、高収入の男。これでは私の庶民さを際立たせるだけ。
そして2人とも綾狙いなのは端から見てても分かった。私なんていらないじゃん。最初から3人でやって欲しいわ。
時折振られる話に適当に相づちを打ちながら店内を見回してみた。周りはカップルや友人達と楽しそうに時を過ごしている。
私は一体ここでなにをしてるんだか…。
ため息を吐いたと同時に、店のある一点で私の視線は釘付けとなった。店の奥まったスペースに座っている姿はまさしくあの隣人だ。
どうやら仲間と飲んでいるように見える。芸能人といえど、普通にこんな店で飲んだりするのかと不思議な思いで見ていた私とヤツの視線が絡まった。
しまった。私は慌てて視線を外し目の前のイケメン達に集中する。どうか気づいていませんように。
しかしその思いが届く事はなく、私の肩をポンと叩いた人物がいた。
綾の顔は驚きで口が半開きだし、イケメンくん達は驚きながらも苦虫を潰したような表情を浮かべている。
そりゃそうだろ。いくら一般社会ではイケメンの彼らでも、隣人の美しさとオーラには敵わないのだから。