隣人
「何してるわけ?」
私の肩に置いた手に力を入れる隣人。
痛いんですけど。
「なにって、見ての通り合コンですが」
「美月は俺という男がありながら合コンするなんてかなり度胸あるね」
今度は腕をぐるっと私の首に回してきた。私はその腕を振り払おうとジタバタするが全く動じない。
「あなたの女になったつもりはありません」
「なに言ってんだよ。あの日から俺達はそういう仲だろ?」
「うわあーーー!!」
突然大きな声を上げた私に、そこにいた誰もが耳を塞いだ。
「うるせーよ、お前」
「あんたが変なこと言うからでしょ!」
「ちょ、ちょっと待って」
痴話喧嘩に発展しそうな私達を綾が止めに入り、いつになく真剣な眼差しで質問してきた。
「もしかして貴方、九条奏多? 美月とどういう関係なの?」
私が答えようとしたのに、隣人に手で口を塞がれてて喋れない。
「そ。おっしゃる通り、俺は九条奏多。そしてこの女は俺の女。これで話は終わり。さ、帰るぞ」
手を引かれた私は言い訳も出来ず店をあとにした。