隣人






新しい町に越してきて半年になる。以前より会社に近いのでかなり快適に過ごせていた。


近所に24時間スーパーもあるため、会社帰りに寄ると半額以下に値引きされている惣菜などがあり、かなり食費を浮かせるのに重宝している。

今日も22時と遅い帰宅をしてテレビの電源をオンにすると、画面に映し出されたのは以前隣人だった男の刑事ドラマだった。


もちろんあれから九条奏多とは会っていない。それもそのはずで、もともと連絡先だって知らないのだから。


画面の中の彼は肌の張りもよく元気そうで、飯炊き女やいつでも抱ける女に困っていないのだろうと想像出来た。


わすがに感じる胸の痛みには気づかないふりをして、着替えを済ませた所でちょうどスマホの通知音が鳴った。


画面を見なくても分かる。きっと彼だ。


つい2ヶ月前、綾の合コンに強引に連行されそこで知り合った男性がいた。


連れられて来た感満載の私に、気安く声をかけてくれて人当たりも良く見た目も悪くない人。


綺麗な女子が他にも居たにも関わらず、私に構ってくれた理由が職業を聞いて納得したものだ。保育士の彼は困っているような人をほっておけない性質なのだと思う。


その日に連絡先を交換してからというもの、彼はマメな人のようで毎日の出来事をLINEしてくれる。


そして私はそれに返信するという形で会話が続いて行き、就寝するまでそのやり取りは続くのだ。

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