隣人
◇
ピンポーン。
深夜ふいに鳴り響くインターホン。直感的に太一が帰って来たと思った。昨日は悪かったと言い、やり直そうと謝りに来てくれたんだ。
弾む気持ちを胸に勢いよく扉を開く。
しかしそこに立っていたのは隣人だった。
「な、なんの用?」
「飯、食わせろ」
ズカズカと部屋に入り込んだ隣人は、ドカっとソファーに座り私を見上げた。
一体何時だと思ってるのよ!文句の1つも言ってやりたい所だがこの男には借りがある。
私は仕方なく冷凍しておいたカレーとご飯を温め彼に差し出した。がっつくように食べる隣人。そんなにお腹が空いてるなら何か買ってくればいいのに。
あっという間に食べ終わった彼は腰を上げるとそのまま玄関に向かう。呆気にとられながら私はその背中に問いかけた。
「え、帰るの?」
「当たり前だろ」
「あ、そう…」
「なに?抱いてもらえるとでも思ったわけ?」
クスッと口角を上げ笑う男。その言葉と態度にカーっと熱くなる私の顔と体。
男の背中を力強く突き飛ばしドアをおもいきり閉めた。
ムカつく!ムカつく!最低だあの男!