Voulez vous du chocolat?
「はいはい、ごめんごめん」
それなのに、そんなあたしの態度なんて微塵も気にしてないような素振りをする神無月君。
レシピ本をパラパラ流しながら読む。
そんな彼を横目でにらんで……ムキになって、黙々とチョコレートを刻む。
「ほ、ほら! 刻んだわよ、どうするの?」
「んー?」
話しかける、なんて恥ずかしくて。
ついこんな口利いちゃうんだ。
「うん、合格。次クッキー砕くから」
それなのに、そんなやさしく笑わないで!
……顔が熱くなる。
ただ、チョコレート刻むのに疲れたから。
そのせいなんだけどね、顔が火照るのも。