Voulez vous du chocolat?
「なんで俺が教えてんのに、こんなヒドい味作れるの?
ファンタジスタ?」
「な……っ、何もそこまで……!」
かああっと顔が赤くなる。
告白したときより恥ずかしい。
「……本当、不器用だよね、沙那って」
「え……?」
しゃがんでいる神無月君の表情は、ここからは読み取れない。
「……俺が教えてやるよ、チョコレートの作り方。
だから、来年のバレンタインは最高においしいチョコちょーだい?」
チョコクランチを咥えて、上目遣いで悪戯っぽく笑う神無月君。
……それって。
「おー、赤くなった。
よかったよ、鈍感で不器用な沙那にも伝わって」
「う……うるさいっ! それに無礼よっ!」
そして、補習時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。
Fin?
