イケメン王子の花メイド




「沢田さんが来てから、この屋敷は明るくなったように感じています。
娘が出来たみたい、と社長も喜ばれておりましたし……

棗様も、よく笑うようになりました」




前川さんの言葉が私の心を打つ。


とくとくと心臓が早くなって、目頭が熱くなってきた。



前川さんがそんな風に考えていたなんて……知らなかった。


前川さんに認めて頂けた気がして、すごく嬉しいです……。




「ですから、沢田さんの存在はこの家にとってかなり大きいはずです。結果はどうなるか分かりませんが、想いを伝えて何か良い方に変わるなら……

私は応援します」


「……ま、前川さん……!」


「あら、廊下でそんなに泣いてはいけませんよ」




はい、と前川さんから綺麗なハンカチを手渡される。


私は何度もお礼と謝罪を伝えて涙を拭った。




嬉しくて嬉しくて涙が止まらない。


まさか前川さんにまで応援して頂けるなんて。

私はなんて贅沢者なんだろうか。


本当に周りの人に恵まれてる……。



諦めないことや後悔しないことを教えてくれた茜さん。

想いの強さや伝えることの大切さを教えてくれた有馬さん。

私自身を認めて応援して下さった前川さん。



……十分過ぎます。



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