キミが、好きです ~茜色の空の下~
「やっぱさ。
今、話してもいいか?」
「いいよー」
やっぱ一ノ瀬は相変わらず呑気だ。
「あのな……俺、23日に九州に引っ越すんだ」
「も、もぉー、そんな冗談……「本当のことだよ」
一ノ瀬の言葉を遮った。
拓は、何も言わずに立ち尽くしていた。
「22日までは学校に来る。
だけど……俺が引っ越すまで、こころには言わないで。
拓……一ノ瀬、今までありがとうな」
―――ガンッ。
「っ……なんで、もっと早く言わねぇんだよ…!」
拓は近くにあった椅子を蹴った。
ごめんな…拓……。
「でも……仕方ねぇんだよな……。
吉岡には…言わねぇよ。っつーか、言えねぇよ…」
苦笑いの拓に、思わず涙が零れそうになる。