あかつきの少女

14.5歳

Γヨウはさ、私のどこが……その、好き、だったの?」


ある日、また二人で遊んでいるときに雫が問う。


今度は海がすぐそばにある公園だった。


「過去形?まあいいや。そうだね、一生懸命でまっすぐな所かな。」


突然の問いにも楊子は動じることなく答えた。
潮風になびく楊子の焦げ茶の髪。
そんな様子を見ながら雫は、棗のことを思い出した。


いや、正確には楊子から聞いた棗の数々の情報、またその時の楊子の挙動を思い出していた。 
 

Γいつから?」


また雫が問う。
その言葉の後ろに、私のこと好きだったの、とは続けなかったが、意図は伝わった。


「雫が棗ちゃんに告白するって言い出した頃くらいかな。」


「えっ。だってあのときは!……え」


そこで雫は知らぬ間に傷つけていたことを悟り、なんとも言えない表情をした。


言葉が紡げずにいる雫を見て、少女はクツクツと笑った。


Γあのときはごめんね。自分が傷ついたからって、相手のことも傷つけようとするなんて、よくないよね。」


「私の方こそ、ごめん……」


すっかり元気をなくしてしまった彼女を見て、柔らかく微笑んだ。




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