ナナイロのキセキ
「そう?ならいいけど。ため息ついて・・・。

なんか顔色も悪いし。体調悪かったら早めに言いなさい。

何度も言うけど、私たちの体調は、お客様に関係ないんだからね。

いいときも悪い時も、同じお金払って来てくれるの。

人間だから、いつもベストの状態ではいられないかもしれないけど、

そうあるように心掛けて。

それで、ダメなときには、ダメだ出来ないって、

周りに言って助けてもらう勇気も必要だからね。

とにかく、なあなあに仕事して、迷惑するのはお客様だから。」

店長はひと息に話をすると、ふっと顔を緩める。

「牧野さんががんばり屋さんなのは知ってるから。

なんかあったら言って。」

「はい・・・。」

私の肩を軽くたたいて微笑むと、店長は仕事に戻って行った。


(そうだよね・・・。

いかにもなネガティブオーラを、セラピストが出しちゃいけない・・・。)


店長は、厳しいけど優しい。

スタッフのことも、お客さんのこともよく見てて。

それぞれの気持ちや身体の変化に、とても敏感だ。


(私も、あんな風になれるかな・・・。)


そのためにいま、出来ることは。

寝不足で、疲れているのは事実だけれど、

私は気合いを入れて仕事に取り組むことにした。
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