ナナイロのキセキ
亮一さんを見上げると、いつもと変わらない、やさしい笑顔が戻っていた。

目が合うと、私は急に恥ずかしくなって焦るように話題を探した。

「あ・・・えっと・・・駅にいると思ってたから・・・。びっくりしました。」

「ああ、うん。その予定だったんだけど。

なんとなく足が向いて。まあ、結果、よかったのかな。」

「・・・はい・・・。」

そのまま会話が止まる。

どうしようかと考えていると、大きな手が、ふわっと私の頬に触れた。

「・・・会いたかった。」

そう呟いた亮一さんの、いつもよりも甘い声。

触れた手のぬくもりに、やっぱり私はキュンとする。

私は何度も同じ人に、何度も恋に落ちるんだ。

「いろいろ・・・ごめん。」

「うん・・・。ううん・・・もう、平気だよ。」

自然と涙がこぼれていく。

さみしかった気持ちとか、辛かった気持ちとか。

亮一さんの想いとか・・・。

それは、いろいろな気持ちがごちゃまぜになって流れた涙。

でも、いちばんは・・・。

「あ、ど、どうした!?・・・って、原因はオレしか考えられないか・・・。

えっと・・・。ごめん、なんか、泣かせてばっかりだな・・・。」

戸惑っている亮一さんの胸に、私はコツンと額を当てる。

「違うの。うれしいんです。亮一さんに、会えたから・・・。」

そう、いちばんは。

一番の涙のわけは、亮一さんに会えたこと。
< 136 / 261 >

この作品をシェア

pagetop